福島
 2011年3月11日、東日本大震災が起きた。あの未曾有の大地震と津波、そして原発事故。さいたま市の我が家の周辺にも、黄色い粉が降り注いだのをよく憶えている。当時、さいたまスーパーアリーナには、双葉町から多くの人が避難してきていた。僕もスーパーアリーナに出向き、介護福祉士としてボランティア登録もしたが、結局、出番はなかった。
 それから4年、いつの間にか震災や原発事故の話はタブーになり、福島で作られた電気を使っていた僕ら首都圏の人間の間では忘れられていった。東北にルーツを持つ僕は、福島県に親近感があり、ずっと気にかけていた。長く勤めたグループホームを辞めたタイミングに合わせて、2015年3月、初めて福島を訪れた。それ以来、絵描きとして何が出来るか、ずっと考えている。

イラストレーター、絵本作家
鈴木邦弘

 栃木県生まれ、埼玉県在住。長岡造形大学卒業、第4、6回MOEイラスト絵本大賞入選。
 '00年個展(木場、北青山)、'13、'15、'16、'17、'22、'23年個展(銀座)、'19年個展(津山、千駄ヶ谷)、'20、'23年個展(草加)、その他グループ展多数出展。
 ​'15年から福島県双葉郡の取材を開始、以降は東電福島第一原発事故をテーマにイラストや絵本の制作を行なう。'19年3月、福島第一原発事故をテーマにした、もやい展金沢(金沢21世紀美術館)出展。'21年4月、もやい展2021東京(タワーホール船堀)出展。'22年8月、もやい.next(アートフォーラムあざみ野)出展。
 原発事故後の双葉郡を描いた絵本に『楽園』『紅』(自主制作)、『いぬとふるさと』(全国学校図書館協議会選定図書・旬報社)がある。その他、デジタル年賀状、飲食店インテリアアート、ゲストハウスフライヤーイラスト、国際NGO団体各種キャンペーン&冊子表紙イラスト、イベントポスター&フライヤーイラスト、カレンダーイラスト等。文筆業、講演なども行っている。
 東京新聞長期連載『ふくしまの10年』にて、『見えない放射能を描く』(全10回)として紹介。その他、新聞各紙や雑誌、様々なメディアにて紹介。
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